航空豆知識#181 「降雪と飛行機2」| アルファーアビエィション

航空豆知識#181 「降雪と飛行機2」

アルファーアビエィションの飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評でためになる航空豆知識。 今回はエアラインパイロットでもある当校の飛行機操縦教官がお届けします。

降雪と飛行機2 前回の記事はこちら➡︎降雪と飛行機1

前回は飛行するまでのお話でClean Airplane Conceptについてお話をしました。 今回は、降雪中に飛行機を出発させるときについてお話ししたいと思います。

小型機(自家用機)などは、今日は雪が降っているから飛ぶのをやめよう!! とフライトをキャンセルするのは簡単ですが、旅客機などではなかなかそうはいきません!

雪が降って、翼などに積もっていても気象状態が飛行可能であれば、お客様が待っているので飛行します。 ただ、Clean Airplane Conceptに基づいて飛行機が離陸するまでは翼の上などに雪が積もらないようにしなければなりません! その為に、飛行機が出発するギリギリ前に飛行機をきれいに除雪をします。

降雪の加減にもよりますが、OneStep(除氷と防氷を一度に行う)とTwoStep(除氷と防氷作業を分けて行う)の2種類の方法があります。

基本的には、グリコールを含む液体を機体にかけて、雪が機体に付着したり積もったりさせずにグリコールに含ませて流れ落ちるようにするのです。ただし、雪が降りすぎてグリコールの成分がすべて流れ落ちてしまえば、また機体や翼に雪が積もってしまいます。

パイロットは雪の状況を見ながら判断して、離陸できるか、再度スポットに戻るかの判断をしなければなりません。翼の上にある黒い線に囲われた黄色い表示は雪の状況を教えてくれるマーキングなのです。 (このマーキングの付いていない飛行機もたくさんあります、その場合は降雪強度と時間をパイロットが計測して確認をしています)

このマーキングがまだまだはっきりと見える場合はまだ大丈夫ですが、徐々に雪で白くなってくると引き返さないとならないということです。 さて、このグリコールを含む防除氷液ですがとてもドロドロしています、そして雪などを含んで徐々にサラサラになって流れてしまいます。逆にあまり雪が降らなかった場合ですが、その場合このClean Airplane Conceptはどうなってしまうのでしょう?

大丈夫です、飛行機が離陸する速度近くになると流れてしまうように作られているのです。 なので、離陸してしまったら翼や機体には何にもついていない状態です、離陸してしまえば高速で飛行していますので翼の上に雪が積もる心配はしなくて大丈夫です。 翼の先端部には雪などが付着する可能性はありますが、飛行中はそういった部分に熱などで溶かしてしまう機能がついているので大丈夫なのです。

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