航空豆知識#172 「航空英語能力証明」| アルファーアビエィション

航空豆知識#172 「航空英語能力証明」

アルファーアビエィションの飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。今回は飛行機操縦教官が「航空英語能力証明」についてためになる情報をお届けします。

「航空英語能力証明」
一般的にパイロットはなぜか英語が話せると思われている職業です。
多分、国際線で世界中を飛び回っているイメージのおかげかもしれません。
しかし、かつてパイロットの英語能力に関しての能力は統一されていませんでした。

民間航空業界での事故率は過去に比べ著しく低くなりましたが、それでもヒューマンエラーに起因する事故は無くなることはなく、過去の事故を検証する中でパイロットと管制官との間でのコミュニケーションが出来ていないことが原因として挙げられる事例がありました。
そのためICAO(国際民間航空機関)がパイロットの英語能力に関しての基準作りを始めました。そして2008年から日本でも航空英語能力証明が制度化されました。
以来この航空英語能力証明でLevel4以上でなければ国際線に乗務出来なくなってしまいました。

では、この航空英語能力証明とはどんな感じなのでしょうか?
TOIECや英検などの英語能力だけでなく、パイロットとしての英語力によりフォーカスされています。
なので英語を母国語としている人でもパイロットや航空に関する知識がなければ完璧には出来ないのです。
逆に英語を母国語としていなくても、航空用語や航空英語を理解していれば合格は難しくはありません。

日本ではパイロットと管制官との通信に関しては日本語または英語と規定されています。通常の訓練などでは英語での通信を行っています。
ですので、英語が苦手な方であってもパイロットの訓練を通して管制官との管制用語ATC phraseology を学び必要な航空英語を身に付けていくことが出来ます。
また、訓練の座学においてもICAO基準で定めれた正しい航空管制用語を学べます。
そして、普段から航空無線を聞くことで更に航空英語を学ぶこともできます。

世界中で管制との通信は英語がメインです。
英語を母国語としている人たちにとってヨーロッパやインド等かなりなまっている英語はなかなか聞き取れないようです。特に我々日本人には分かりやすい日本や韓国、中国の英語は更に苦労しています。
ですが英語が非母国語の私たちにしてみればICAO基準の航空英語を勉強しているのでネイティブな彼らは驚くことがよくあります。

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