航空機の安全性について
アルファーアビエィションの飛行教官がお教えする、普通は聞けない貴重な知識、今回は「航空機の安全性について」です。
車に車検があるように、航空機にも法律で定められた定期的な整備点検があります。
この検査のことを「耐空検査」といい、通常は1年に1回検査を受けなければ、飛行することができません。
「耐空検査」を受けて合格すると、「耐空証明書」及び「運用限界等指定書」という書類が発行されます。
では、「耐空証明書」とは何を証明しているのでしょうか。
検査としては、その航空機が我が国で定めている安全上の基準に適合するかどうか設計、製造過程及び現状について検査します。
基準に適合していると認められれば、「耐空証明書」が発行されます。
その基準となるものが「耐空性審査要領」であり、航空機の安全性を確保するための「強度」、「構造」、「性能」についての基準が書かれています。
すなわち、「耐空証明書」があるということは、国の定めた基準に適合しているので飛行は可能であるという証明をしていることになります。
ただし、この証明書は検査を受けた時点では基準を満たしていたということであって、証明書の有効期間である1年間を保証するものではありません。
耐空証明書の中に、「国際民間航空条約(ICAO)及び航空法並びに指定した用途及び運用限界に従って、これを整備し、及び運用するときは、耐空性を有することを証明する。」と記載されています。
つまり検査合格後、航空法や指定した運用限界に従わなかった場合には、有効期間内といえども基準に適合するという証明がなくなるので飛行することはできなくなります。
そのために「耐空証明書」を発行すると同時に「運用限界等指定書」も発行されます。
また、指定した用途及び運用限界に従って、これを整備し、及び運用していても、国土交通大臣から「整備改造命令」や「耐空証明の効力の停止等」が出された場合には、その処置をしなければ飛行はできないことになっています。
航空機は、ひとたび空に舞い上がると、何か不具合が生じてもすぐに修理ができるわけではありませんので、地上にある他の乗り物と違い、不具合が極力起こらないような整備管理が取られています。
毎日の飛行前、飛行後の点検に加え、飛行時間50時間または100時間毎の点検を繰り返して航空機の状態を維持します。
運航する側のパイロットは、飛行中だけでなく地上での運航中も、航空機の状態を常にチェックするようにして、小さな変化も見逃さないようにしています。
パイロットは、整備士との信頼の上で飛行し、安全運航に努めています。