飛行に及ぼす高度の影響| アルファーアビエィション

飛行に及ぼす高度の影響

アルファーアビエィションの飛行教官がお教えする航空豆知識、今回は「飛行に及ぼす高度の影響」です。経験豊富な教官から貴重な知識をお教えしましょう。

高度が高くなると気圧が減少し、飛行に様々な影響を及ぼします。
特に離陸及び上昇率において大きな影響が現れ、例えば海面と同じ高さの空港から離陸するのに1,000Ftの滑走距離が必要な飛行機は、標高5,000Ft(1,500m)にある空港からの離陸では、およそその2倍の滑走距離が必要となります。
日本国内では標高5,000Ftの空港はありませんが、最も高い松本空港(2,157Ft)でも約30%の滑走距離の増加となります。
なぜなら飛行機は翼面上を流れる空気から揚力を得るだけの十分な速度を確保しなければなりませんが、空気が希薄になれば必要な揚力を得るため、より多くの速度が必要となり、従ってより長い地上滑走距離が必要となります。

また希薄な空気中ではエンジン効率も低下し、プロペラ推力も減少するため上昇率が小さくなり、機体が浮揚した後もゆっくりとした上昇となってしまいます。
着陸については対地速度が速くなりますが、その他については大きな違いはありません。

高度が高くなると気圧の低減に伴い、酸素量も減少し人体に様々な影響が現れます。
一般的には12,000Ft(3,660m)未満の高度では低酸素に伴う顕著な影響は現れません。
しかし、高度18,000Ft(5,500m)では海面高度の半分の気圧となり、酸素量も半分となってしまうため、約20~30分でパイロットは各操作をする能力が失われ、間もなく失神してしまいます。
これらを克服するためには酸素吸入器や与圧式キャビンが必要となります。

このように気圧の減少に伴う影響は非常に重大なものがあります。
しかし、これをよく知って対策を十分に行えば安全なフライトを行うことができます。
決して自然を侮ることがあってはいけませんが、上手く利用すれば私達の行動範囲は大きく広がり、豊かな生活を生み出すことができるわけです。

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