航空豆知識#209 着氷への注意
アルファーアビエィションの飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評でためになる航空豆知識。今回は当校の飛行機操縦教官がお届けします。
着氷への注意
福島運航所からの白河、郡山を見渡す、那須連山及び裏磐梯は、残雪に深く覆われていますが、麓のほうはこれから日中の気温も上がり春の季節が訪れる時期となってきました。 そのような季節の移り変わりのなかで、福島運航所のDA40とDA42は毎日の詳細な気象分析に基づき安全に飛行訓練を実施しており、創立以来38年間無事故飛行を継続しています。
そのなかで冬季から春先にかけての小型機の運航にあたっては、着氷に対する注意が必要です。
冬季に入ると、西高東低の冬型の気圧配置に覆われ、上空に寒気の移流もあることから、下層で雲が形成されやすくなります。野外飛行を実施する際には、パイロットは飛行高度の選定が必要になります。 DA40には、一般の航空機と同様に、防氷装置としてピトーヒーターが装備されているだけです。
運用様式にも規定されるように「着氷気象状態が発生しているか、予想される場所への飛行は禁止されている。」ことから、飛行空域の選定が必要となります。 (DA42はピトーヒーターに加えてディアイサー(翼やウインドシールド等にエチレングリコールの排出)機能があります。)
ちなみに、翼前縁に1cm程度の着氷があった場合には、揚力は50%減少することになります。着氷の基礎的条件として、飛行機は雨か雲の水滴の中を飛んでいること。水滴の温度は0℃かそれより低いことです。 一番ひどい着氷は、-10℃~0℃の間で発生し、さらに、寒冷前線及び前線後面の寒気内の雲、冬季日本海側の寒気の雲、冬季の低気圧の中心で発生することになります。なお、一般的なキャブアイスは+10℃でも、湿度の高いときには要注意です。