航空豆知識#206 ウイングレットとは| アルファーアビエィション

航空豆知識#206 ウイングレットとは

アルファーアビエィションの飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評でためになる航空豆知識。今回は当校の飛行機操縦教官がお届けします。

ウイングレットとは

写真はアルファーアビエィション保有のDA42 型の翼の先端部写真ですが、すごくかっこいい翼をしてませんか?旅客機でもよく見ることがあると思いますが、小型機でもこのように翼の先端が上方に反りあがってるタイプがあります。

それではこのかっこよく反りあがった翼端の名称と効果について説明いたします。この翼端のことを通称「ウイングレット」と称します。このウイングレットについては形状によりいろんな種類とそれによる名称が様々ありますが、効果や目的については同じでありますので以下簡単に分かりやすく説明させて頂きます。 皆さんご存じの通り飛行機が飛行するためには翼による揚力が必要になります。そのために翼の形状に沿った空気の流れにより揚力を発生させて飛行するのですが、その結果図1のように翼端で気圧の高いところから低い上部に空気の流れ込みが発生します。

この翼端の流れ込み現象は飛行機にとっては厄介です。何故かというと、図2の通り飛行機が翼端の空気の流れ込みを発生させながら飛行すると、後ろに渦を発生させ(翼端渦)、吹きおろし成分を伴いながら飛行することになります。この翼端渦は、翼端を後方に引く力をもたらして抗力を増大させてしまいます。この翼端渦に伴う抗力を「誘導抗力」と言います。

図3は翼端から見て、翼端渦に伴う誘導抗力を概略ですが図式化して説明したものです。

つまり、翼端渦の吹きおろし成分が揚力成分に影響して、誘導抗力を生み出してるのです。そこでこの厄介な誘導抗力を抑制させるためにはどうするかというと、最初に紹介したウイングレットが大きな働きをするわけです。 つまりDA42型の写真のようなウイングレットの壁で翼端での空気の流れ込みを抑制することで、翼端渦の発生を減少させ、それに伴い誘導抗力を減少させることができるのです。かっこいい翼端形状ですが、その働きは飛行機の運航に多大な好影響をもたらしてます。 例えば、旅客機の場合4~5パーセントの燃費向上の効果があると言われています。

それにより二酸化炭素の排出量にも貢献しているのです。昔の記憶ですが、レイセオンエアクラフトB350(DA42 型の約2倍の大きさ)の場合ですが、整備の方に「ウイングレットのおかげで片側で十数キロ分の抗力(引っ張る力)を減少させている」と聞いたことがあり、かなり大きな働きをしているんだなと感心したことがあります。

冒頭でも述べましたが、ウイングレッドには様々な種類がありますので、飛行機を見る機会がありましたら翼端を観察してみてください。様々な形状がありますので、「なるほど、こんな具合に翼端渦を抑制しているんだな」と空気の流れの想像を掻き立てられて面白いと思います!

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