航空豆知識「ヘリコプターの静電気」| アルファーアビエィション

航空豆知識「ヘリコプターの静電気」

飛行機とヘリコプターの教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
今回は、ヘリコプターの教官からためになる情報です。

飛行中に溜まった静電気はどうするの?

冬の足跡が近づくにつれ下妻運航所も次第に空気が乾燥し、訓練生、スタッフはインフルエンザにかからないよう健康管理に注意しています。

空気の乾燥で思い付くのは静電気です。
飛行機で旅行する際、細長い棒状の装置が翼端に付いているのを見たことはありませんか。これは放電索(スタティック・ディスチャージャー)といいます。

飛行機は飛行中に機体表面が空気や水滴、塵等と衝突し摩擦で帯電してしまいます。
機体に静電気が溜まると、放電する際に電磁波が発生し、無線通信機器などの電子機器に障害が発生する危険性があり、これを放電するのが放電索です。

ヘリコプターでは、まずスキッドタイプのヘリはスキッドが地面に接しています。
タイヤ式のヘリは、機体によって多少違いはありますが、アース線が地面に接しています。
ヘリの機体に帯電した静電気は地面に接した際に放電されます。

ではヘリコプターがホバリングしながらホイスト・ケーブルで人を救助する時は、静電気をどう処理するのでしょうか?
この静電気を処理しなければ、救助者は静電気を「バシッ」と浴びることになり痛い思いをしてしまいます。

ホイストで降下する隊員は、救助を開始する前に必ずアース線を地面又は海面に接地して放電させています。
放電してなければ隊員も静電気を浴びることになります。たかが静電気と侮ってはいけません。
人命救助の際にはしっかりアースをとり、ホイスト救助作業を行っているのです。

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