航空豆知識「降雪時の飛行」| アルファーアビエィション

航空豆知識「降雪時の飛行」

当校の飛行機とヘリの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
今回は降雪時の飛行についてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。

「降雪時の飛行について」
2月上旬に今年一番の寒気が日本を覆い、関東は南岸低気圧が通過したため朝から雪が降りました。
ちなみに昨年も今年と同じ2月5日に、下妻運航所では積雪7cmの雪が降ったため、降雪時の訓練を行い、着陸時の雪の舞上がりを体験することができました。
操縦士免許取得のための訓練を行っている生徒さんは貴重な経験を積むことができましたが、なぜか近年、雪の降る確率が上がっていて、飛行中に雪に遭遇する可能性が高くなっているような気がします。

では、実際に飛行中に降雪に遭遇したらどうなるのでしょうか。
最初から降っている時に飛行する場合は予測しながら飛行できますが、場所によっては天気が良かったのに突然流れ雪に遭遇してしまったり、予報に反して雨から急にドカ雪に変わり交通が大混乱してしまうような天気の日もあります。

飛行中に雪に遭遇すると、雨とは違い極端に視程が悪化するので、雨と同じように安易に考えていると大変なことになります。
自分の飛行姿勢が解りづらくなったり、どこを飛行しているのか解りにくくなってしまいます。
ピトー管が雪で詰まると速度計に影響も出てきます。
地上を確認するために飛行高度を下げていくと、真っ白な世界になり地上と空との判別がしにくくなったり、着陸すると雪が舞い上がりホワイトアウト状態になることもあります。
パイロットの体験談として、視察飛行をしている時に雪に遭遇したため海上を低高度で飛行していったり、山を抜けて平野にある飛行場に着陸しようとした際に、予報に反して天候が急変して降雪となり予防着陸をしたという話もあります。

よく雪が降る場所で飛行する際は、地上の目標もより具体的に確認しておくべきで、例えばある場所に着陸する際に、この交差点を左に曲がって、あのショッピングセンターを右に曲がったところに着陸場がある、などど日頃から目標を把握しておきます。
また着陸するときは、高めのホバリングを行い雪を飛ばしながら高度を下げていき、いつでも逃げられるような態勢を取りつつ高度を下げて接地します。
地上の状態がよく解らない状態で急激に接地すると、雪の積もり状態や固まり状態により急に機体が傾いたりしますので、慎重に操作しながら絶対に目標を外さずに接地します。
逆に雪の上から離陸するときは、スキッドが地面に固着している可能性を考慮して、地面から離れる際に機首を左右に少し動かしてからホバリングに移行するなど各々パイロットは注意して飛行しています。

アルファーアビエィション下妻運航所では、自家用操縦士、事業用操縦士の免許を取得するために日々訓練が続いていますが、教官陣はいろいろな経験談等も踏まえて実践的な教育を行っています。
飛行する際は常に最新の気象情報を入手することを強調するとともに、悪天については遭遇する前に可能な限り回避することを指導し、安全に飛行できるパイロットを育成しています。

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