航空豆知識「操縦はホバリングに始まりホバリングで終わる」| アルファーアビエィション

航空豆知識「操縦はホバリングに始まりホバリングで終わる」

当校の飛行機とヘリの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
今回はホバリングについてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。

「操縦はホバリングに始まりホバリングに終わる」
ヘリコプターの操縦と言えばホバリングがまず始めに浮かんできます。
それはヘリコプターと飛行機の最大の相違点であり、どこででも離着陸できる機能すなわち、離陸し着陸する際に必ず行う操作だからです。
そのため訓練初期の段階で最初に訓練する科目でもあります。

ではホバリングとはどういうものなのでしょうか。
そうです皆さんが思い浮かべている状態です。空中で停止することです。
ホバリングの定義は、対気速度「0」の状態を言います。これは風が前方から5m吹いていれば1秒間に5m後方に動くことです。
空中と言うより空気に対して停止している状態なのです。
無風状態であれば地面に対して停止している状態ですが、風が出ると自分から動くことになります。
結果機体の速度計は「0」になります。風があると機体の速度計は概ねその風速を示すことになります。

しかしながら操縦士は一般に地面に動かない状態すなわち対地速度「0」をイメージして操縦します。
人命救助のためホババリンして機体につり上げたりする時にヘリが動いていたらとても危険です。
操縦する上でも地面が動かないから空中(地面に対しての1点)に停止することができます。

地面の上ではこのようになりますが、これとは違う場所があります。それは川や湖などの広い水面の上です。
水上の近くでホバリングすると自分が作った風(ブレードのダウンウォッシュ)により水面が動いてしまうのです。
周りに何もない広い水面上でホバリングするのはとても難しいものです。
動いているのか、止まっているのか全く解りません。
ではどうやって止まるのでしょう。そのこつですが、常に同じ円を作ることです。
自分が動くとその円がいびつになり、円の前に行ったり、円の後ろに行ったりします。常に円の中心にいるように操作します。
やってみると本当に難しいですよ。

地上ホバリングについての初心者の方へのアドバイスです。
その操縦のこつですが、まずはじめは止まろうとせず、動くことなのです。
何を言っているのかと思うでしょうが、止まろうとして機体を傾けると機体が逆に大きく動こうとしてしまうのです。
とにかくはじめは地面の動きに惑わされず、機体の水平を保ち、水平のまま動くことなのです。
どうしても地面が近くにあって気になってしまう人は、少し高度を上げてみましょう。そして遠くを見て水平を保ちましょう。
あれや不思議、いつのまにか地面に対しても止まるようになってしまいます。
どうです操縦してみたくなったでしょう。
一度試してみて下さい。いつでもお待ちしています。

ロビンソンR66

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