操縦における各季節毎の注意点(春季)
アルファーアビエィションのベテラン飛行教官が、訓練生でないと聞けない、貴重な情報をお教えします。 春夏秋冬の飛行の注意点をシリーズでお届けします。しっかり学んでください。
「春の飛行での注意点」
春の天気としては、それまで天気を支配してきた冬の「シベリア高気圧」と夏の「太平洋高気圧」が入れ替わる時期のために、日本付近には両気団の境界ができ、そこに停滞前線が発生して、広い範囲で天気が悪くなることがあります。この前線上を低気圧が次々に通過するため、天気が1週間くらいぐずつくこともあるので、飛行する日程が長くなるような計画を立てる場合は注意が必要です。
また早春は、低気圧の移動速度も速くなるので、天気変化も速くなり、1日のうちでも風向風速の変化も大きくなったりして、特に到着時の着陸の際の風の予測をしっかり立てる必要があります。
高気圧が西から近づいているときは、晴天になることが予想されます。高気圧の中心が日本の南側を移動してくるときには特に問題ありませんが、中心が日本の北側を移動するいわゆる「北高型」になると、高気圧の前面で北東の風が吹き、太平洋側では湿った空気が入り込むことにより、雲が発生しやすくなり、小雨が降ったりすると視程不良になることも考えられ、高気圧の移動の方向にも注意が必要です。このような天気の時は、シーリングが低くなることもあるので、山越えの計画には十分注意が必要です。
また、「北高型」では「菜種梅雨」になることがあり、数日にわたって天候不良が続くこともあります。
この時期には、日本の南西海上で発生して北東進する、いわゆる「南岸低気圧」にも注意が必要です。この低気圧は日本に近づく際に急速に発達して、風雨が強くなることもあり、関東地方でも降雪をもたらすこともあります。飛行中の着氷の注意はもちろんですが、野外駐機する場合の降雪や風の対策も必要です。
日本の南岸だけでなく日本海側にも低気圧が同時に進んでくる、いわゆる「二つ玉低気圧」もこの時期には見られます。この「二つ玉低気圧」が日本付近を通過するときには、全国的に大荒れの天気になり、積乱雲の発生や乱気流、着氷が起こることもありますので注意が必要です。