飛行機訓練日記(実践的な計器飛行訓練)
東北地方はまだ梅雨入りしていませんが、連日のように雨や雲が低いどんよりとした天候が続いています。VFR(有視界飛行)での飛行訓練には厳しい季節ですが、計器飛行課程の訓練生にとってはより実践的な訓練ができる環境でもあります。
卓越視程3000m、雲高800ftで、計器気象状態(IMC)からの離陸です。もちろん新潟空港までの管制承認(IFRクリアランス)を得ての飛行です。
IMCなので滑走路灯、滑走路中心線灯など様々な灯火が確認できます。離陸後すぐに雲中飛行となるため、飛行姿勢の保持が重要となります。
[IMCでの離陸]
雲上飛行していましたが、新潟空港への計器進入のため降下開始します。
新潟レーダーからレーダー誘導で針路(HDG)と降下高度の指示を受けながら飛行するため、雲を突っ切ることも珍しくありません。
[降下開始]
[間もなく雲に入る]
雲を抜けILSファイナルに入ると新潟空港周辺は絶好の飛行日和の天候でした。
ランウェイ28の手前には定期便の旅客機が離陸待ちしています。よく見ると30分先行して飛行していたアルファーアビエィションのDA42がインターセクション誘導路(P3)で同じく離陸待ちしています。
[ILS APCH]
新潟空港を離陸し帰路につきます。往路は10000ftでしたが、気温上昇による雲の発達を考慮して9000ftでファイルしていた巡航高度を11000ftに変更してIFRクリアランスを要求し承認を得ました。
予想通り9000ftではインクラウド(雲中飛行)でしたが、11000ftでも雲上ギリギリで時々雲をかすめてしまいます。酸素を使用して13000ftでの巡航が正解だったようです。
[雲上飛行]
[雲をかすめる]
福島空港への計器進入許可は東京コントロール(東京航空交通管制所)から発出されます。事前に気象情報を入手して南風が入っていたため、VOR A Circling RWY19を要求し承認を得ました。
再び雲中飛行となります。雲中でのタービュランスと格闘しながら福島VORをヒットし初期進入、基礎旋回、最終進入と飛行します。
VORアプローチでは、滑走路の延長線上ではなくVORをめがけて飛行しますので滑走路は正面に見えません。
[VOR A APCH]
周回進入区域に入ったら反対側の滑走路へサークリングします。VFRで飛行するダウンウインドよりも低く、幅も狭いのですが、概ねウイングチップディスタンスとなります。
[サークリング中]
今回は双発機DA42での訓練でしたが、単発のDA40でもIFR運航をすることができますので、訓練生のニーズにあわせた訓練シラバスを作成することが可能です。
日本のように四季があり天候が変化しやすい環境では、例えVFR運航しかしない場合でも計器飛行の知識・技量があればより安心、安全です。
プロを目指す方だけではなく、自家用操縦士の皆さんも計器飛行証明の訓練にチャレンジしてはいかがでしょうか。