航空豆知識#194 「R22の動力伝達法」| アルファーアビエィション

航空豆知識#194 「R22の動力伝達法」

アルファーアビエィションの飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評でためになる航空豆知識。今回は当校のヘリ操縦教官がお届けします。

「R22はどうやってローターを回している?」
前回はR22のエンジンについて紹介いたしました。
今回はR22の動力の伝達方法(エンジンの出力がどうやってメインローターとテールローターに伝わっているのか)について紹介いたします。

【1】 エンジンの動力はロワーシーブ(ロワープーリー)からVベルトを介してアッパーシーブ(アッパープーリー)に伝達されます。アッパーシーブからドライブシャフトを通してメインローターとテールローターそれぞれのトランスミッションに伝達されます。
メインロータートランスミッションへ伝達された動力は減速されてメインローターを回転させます。
テールロータートランスミッションに伝達された動力は増速されてテールローターを回転させます。
(※各部の回転数は動力伝達図を参照願います。)

【2】 R22の特徴としてはVベルトを使用していることです。Vベルトを使用する機体はR22の他に、R44やシュワイザー300(いずれもレシプロエンジン)などが使用しています。
Vベルトを使用する理由は、エンジン始動時にVベルトの張力を緩めることでスターターの負荷を低減させるためです。
Vベルトの張力を調整するために、モーター(クラッチアクチュエーター)が取り付けられています。
このモーターは、飛行中にVベルトが緩んできた場合にも自動で張力を調整させることが出来る優れものです。

【3】 R22は、他のヘリコプターと同様にオートローテーションで着陸することが可能です。
R22には、アッパーシーブにスプラグクラッチが内蔵されており、これにより、エンジンが停止した場合にエンジンとローターの接続を自動的に切り離して、オートローテーションを可能にしています。

以上、R22の動力伝達法とその特徴について説明しました。
R22は小さな機体に安全かつ効率良く動力を伝達する機能を備えた素晴らしい機体であり、操縦練習に最適な機体と言えるのではないでしょうか。

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