航空豆知識「飛行機の重心位置計算」その6| アルファーアビエィション

航空豆知識「飛行機の重心位置計算」その6

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
以前に「飛行機の重量計算」シリーズをお届けしましたが、ただ今「飛行機の重心位置計算」について飛行機の教官がためになる情報をシリーズでお届けしています。

飛行機の重心位置計算(その6)空力平均翼弦(MAC)と重心 
今回は「空力平均翼弦(MAC)と重心」について説明します。

これまで飛行機の重心位置として、基準線からの距離として表す方法を説明してきましたが、この重心位置を「空力平均翼弦MAC(Mean Aerodynamic Chord)」の前縁から重心位置までの距離を「% MAC」で表す場合の方法について説明します。「空力平均翼弦」とは、航空力学での揚力が発生する理論及び計算する上での便宜上の主翼全体を空気力学的に平均した仮想の翼弦となります。

飛行機の主翼の形が矩形翼、すなわち、主翼の前縁から後縁までの距離が、主翼の付け根から先端まで同じ長さとなっているような長方形であれば、重心位置が「前縁からの距離」として計算することが容易にできます。しかし、実際の小型飛行機の主翼の形状は、その飛行機の性能や強度を考慮して設計されていて、主翼の付け根付近は長く、先端では短くなっている、いわゆる「テーパー翼」となっているものがほとんどです。そこで、飛行機に揚力を生じさせる理論上の主翼として、作図によりこの「空力平均翼弦」を翼断面とする仮想の主翼として矩形翼を考えて、計算します。

従いまして、「平均翼弦」は理論上の揚力の中心となりますので、これに対比して重心位置を表すことは、飛行機の安定性の目安として合理的であると同時に便利です。この表し方では、以前に述べたように基準線から何インチというように距離で示すのではなく、「平均翼弦の何%」というような表現になります。つまり、平均翼弦の前縁から重 心位置までの長さを平均翼弦の全長で割って100 倍した比率、すなわち百分率で表します。

次回は「重心位置の許容範囲」について説明します。お楽しみに。
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