航空豆知識 飛行機編「アドバースヨー」
当校の飛行機とヘリの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
今回はアドバースヨーについて飛行機の教官がためになる情報をお届けします。
「アドバースヨー」とは
飛行機が空中を飛行する際、その姿勢や方向を変化させるために、主な操縦翼面として三舵と呼ばれる舵面を動かすことにより飛行しています。
三舵とは、上下方向の動き、左右方向の動き、横方向への傾く動きを飛行機に与えます。
普通の飛行機には、その三舵を操作するものとして、昇降舵、方向舵、補助翼があります。
その中で、飛行機を傾ける時に使われるのが補助翼で、主翼の後縁の外側に取り付けられていて、エルロンと呼ばれます。
飛行機を左に傾けたい場合は、操縦席の操縦輪を左回りに回転させるか、操縦桿を左に倒します。
その操作により、左の翼のエルロンの後縁側が上がり、同時に右の翼のエルロンの後縁側が下がります。
これで左の翼の揚力は少なくなり、右の翼の揚力は大きくなって、機体は後ろから見て左に傾きます。
このようにエルロンの動きによって機体を傾けることができますが、エルロンの上下の作動角度が同じであっても、エルロンを下げた方の翼が上げた方よりも空気の抵抗が大きくなって、飛行機の機首は傾いた方向とは逆側に向こうとします。
すなわち、左方向に旋回しようとして左に傾けたのに、右に向こうとする現象が起こります。
これを「アドバースヨー」といいます。
通常の小型飛行機では、エルロンの作動範囲を、上げ側を大きくし、下げ側を小さくすることによって、この現象を解決するようにしています。
このようなエルロンを「差動補助翼」といいます。
以下は、福島空港で飛行機の操縦訓練を行っているアルファーアビエィションの訓練機であるダイヤモンドエアクラフト式DA40型の右翼のエルロンです。
DA40型のエルロンの作動角は、上げ側に約20度、下げ側に約14度となっています。
福島運航所では、飛行機の自家用操縦士免許や事業用操縦士免許、計器飛行証明、多発限定変更、教育証明など、多岐にわたって飛行機の操縦訓練を行っています。
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。