山口教官からのアドバイス
1 教官としての信条
昨年から航空界の変化として、特定技能証明審査制度及び操縦教育証明課程の法改正、さらに近年操縦士養成課程の大規模な撤退により、操縦教育を司る教育の場が限定されつつあります。一方で絶対的な航空需要に変化はなく、小型輸送機を使用した航空運送事業の拡大により、今後操縦要員の必要性が増加するものと考えられます。
このため、操縦教官として、知識・技量の向上を教育するだけでなく、空を飛ぶ人間としての人間性つまり人間心理までを含めた教育が必要と考えています。
「健全な精神は健全な肉体に宿る」です。
2 教官苦労
教官として、教育内容はこれでいいのか自問自答しつつ、学生一人一人の生い立ち、その生活環境、年齢等から、学生個々の受講対応は全くと言っていいほど変化し、その能力も違います。その意味で、教育のアプローチを変化させ、1回で理解しなければ反復訓練も必要となります。さらに教官として、上の目線に立つことではなく、学生時代を思い出し、何が分からなかったのか、どうすれば理解出来るのか、訓練生の立場に立った具体的な指導を実施しています。
3 過去の飛行の思い出
これまで回転翼、固定翼と飛行を継続し、主に学生教育を担当してきましたが、空は素晴らしいものです。そして日本全国風光明媚な体験も可能です。春の桜、夏の花火、秋の紅葉、冬の雪山等、空から見る景色は格別です。
4 教官の喜び
過去約千人の学生と接して来ましたが、前述のように学生個々の生い立ちの違いにより、受講能力に大きな差が生じています。その差を埋めるためにも、自ら努力を継続することです。このため、学生には可能な限り、毎日の知識の確認を奨励し、教官指導が一方通行とならないように、教育環境を充実させ、なんでも言える雰囲気作りを実施しています。少しの努力が数か月で大きな違いとなり、まさに継続は力です。
これは、飛行技術も同様です。パワーの使い方、ラダーの足の位置まで具体的に教示することで技量が向上します。さらに、着陸技量は永遠の課題ですが、安全な着陸操作のため、「目の付けどころ」を教育することで、一歩技量が向上するものです。