R66シリーズ [その3 R66のエンジンについて(ターンビンエンジンPart1)] ー航空豆知識ー
当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。今回は、「R66シリーズ」についてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。
R66シリーズ(その3)R66のエンジンについて(ターンビンエンジンPart1)
R22及びR44は自動車と同じ4サイクルのガソリンエンジンを使用しています。このエンジンはピストン、シリンダー、クランク軸で構成されています。エンジンは水平対向型で、ピストンが左右に動いて吸気、圧縮、燃焼、排気の4行程の間欠燃焼で、爆発力によってピストンを動かしているのでガソリンを使用しています。
R66はタービンエンジンを搭載しており、このガスタービンエンジンは、コンプレッサー、燃焼室、タービン、ギアボックスから構成されています。コンプレッサーで空気を圧縮し、この空気を燃焼室に送り、ここで燃料と空気の混合気に点火し、この燃焼高温高圧ガスでタービンを回転させます。タービンで発生した出力は、1段目のタービンでコンプレッサー、2段目のタービンでローターを回転させます。燃焼は、連続燃焼で一度着火すると継続的に燃焼を行うので、灯油系の燃料を使用しています。
タービンエンジンは、小型軽量ですが、大きなパワーを持っています。(R22の重量は約131kgで145馬力、R66は、約91.2kgで300馬力です。)またピストンエンジンのような往復運動ではなく、タービンの回転運動なので、エンジン振動がほとんどありません。乗り心地は抜群です。
R66のタービンエンジンは、ロールスロイス式250-C300A1型で商品名RR300というフリータービン式のターボシャフトエンジンです。自衛隊のOH6やジェットレンジャーと同系列のエンジンで、リバースフローにより小型化しています。
もう一つの特徴が、エンジン始動時の最も怖いホットスタート(熱くなりすぎてタービンが溶けてしまう)の可能性がとても低くなっています。これはエンジン始動時にスタートボタンを離してしまうことによるホットスタートで、R66は一度スタートボタンを押すとその状態を保持して自立回転数になるまでその状態が維持されるので、ホットスタートの危険性が少なくなっています。この機能は我々パイロットにとってとても助かっています。エンジン始動時にスタートボタンを押すと、キュイーンというコンプレッサーが回転する小気味良い音とともに着火したときの音が何とも言えません。
エンジンのパワーは300馬力で、機体搭載時連続最大出力で224馬力、5分間離陸出力で270馬力です。ヘリとしてはあまり馬力がないような数値ですが、5分間出力で上昇すると2000ft/m(1分間に2000ft上昇)を振り切りますよ。VNE(超過禁止速度)も140ktとスピード感があるヘリです。下妻ヘリポートから仙台空港
まで125nmで54分で着きます。
次回も引き続き「R66のエンジン」について説明します。お楽しみに。 飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。