「海霧」との遭遇(航空豆知識)
アルファーアビエィション福島運航所で飛行機の操縦訓練生が航法を行っているときに「海霧」という現象に遭遇しました。
「海霧」とは、暖かく湿った空気が冷たい海面に接することで生じる霧のことで、夏になると日本の北部太平洋で発生しやすくなると言われています。
この日の飛行ルートは、福島空港を出発後、新幹線の新白河駅、宇都宮駅、日立駅、小名浜港を経由して、福島空港に戻る計画でした。
新白河駅や宇都宮駅の内陸部では、比較的高い高度に雲が散在していましたが、日立の海岸線に近づくにつれ、海面を這うような低い雲が上空から確認することができました。
海岸線に沿うように小名浜港のさらに北の方まで長く続いていましたので、「海霧」の発生と思われます。
この時の巡航高度は3,500フィート(約1,000m)だったので、上空からは雲の高さの判定はなかなか難しい状況ですが、おそらく地面から150m位までは霧に覆われていたと思います。
有視界飛行方式での飛行では、視界の確保が絶対条件ですので、このような気象に遭遇しても海岸線から離れた内陸部の地点はよく見えていますので、位置の把握や飛行機の操縦に影響は特にありませんが、着陸する空港が海岸線にあるような場合には、着陸することができなくなることもあります。
目的地の空港の立地条件をよく調べて、安全に飛行することができるための気象の判断は、飛行機を操縦する上で大事な要素となります。