航空豆知識「空中衝突の防止」
当校の飛行機とヘリの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
今回は空中衝突の防止についてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。
「空中衝突の防止 その1」
大空を自由自在に飛べる航空機ですが、航空機同士の衝突などの航空事故を防止するため、さまざまな空のルールを守って飛んでいます。
その一つが「進路権」です。
飛行の進路が交差または接近する場合の航空機相互間の進路権の優先順位は
① 滑空機
② 物件を曳航している航空機
③ 飛行船
④ 飛行機、回転翼航空機、動力滑空機
となっています。
「滑空機」とはグライダーのことです。
また、「物件を曳航している航空機」とは、グライダーを曳航しながら上空まで飛ぶ飛行機などのことで、関東平野では栃木県の渡良瀬川河川敷にある板倉滑空場や、千葉県の関宿滑空場でよく見かけます。
「回転翼航空機」とはヘリコプターのことです。
「進路権」のルールにより、例えば、ヘリコプターで飛行中、前方に飛行船を見つけた場合、ヘリコプターは方向や高度を変えて飛行船の進行方向の邪魔をしないようにします。
飛行船とグライダーが遭遇した場合は立場が逆になり、飛行船がグライダーの進路を邪魔しないようにしなければなりません。
飛行機とヘリコプターあるいは、ヘリコプターと動力滑空機(エンジン付きのグライダー)のように同順位の航空機相互間についても、例えば、「他の航空機を右側に見る航空機が進路を譲る」とか、「正面またはこれに近い角度で接近する場合は互いに右に進路を変える」とか、「他の航空機が前方の航空機を追い越す場合は右側を通過する」などの決まり事があります。
このように、さまざまな細かい空のルールを守ることによって航空機は空中衝突を防止しているのです。