飛行機整備士が語る、スベらないお話| アルファーアビエィション

飛行機整備士が語る、スベらないお話

アルファーアビエィションのベテラン飛行機整備士がタイヤに関するとてもおもしろい知識をお教えします。 題して、「飛行機整備士が語る、スベらないお話」です。

A.「トレッドパターン」
自動車のタイヤメーカーは各社性能アップのため、道路との接地面にあたるトレッドにいろいろな模様の溝をいれています。
このトレッドパターンには、大きく分けると4つの基本パターンがあります。 これら基本を組み合わせて、用途にあったタイヤが作られます。

B.「溝(トレッドパターン)の減ったタイヤは危ない?」
自動車は、特に雨の日、大変危険ですので早い時期に交換すべきです!
それでは、飛行機は?
当社のDA40機および、CITATION機のタイヤを良く見てください。

なんと、トレッドパターンの溝はどれも縦方向に直線のみで、機によって本数が違うだけです。
このタイヤをグルーブドタイヤ(Grooved Tire)と言い、大型旅客機も同じタイプのタイヤを使用しています。

C.「こんな簡単なトレッドパターンの溝で大丈夫」
その答えはF1レーシングカーにあります。
F1のタイヤは写真のように、ツルツルの溝無しタイヤです。
このタイヤをスリックタイヤ(Slick Tire)と言い、路面との接地面積を上げて滑らなくしています。しかし、雨天時は、トレッドと路面の間に入った水を排出する溝有りの雨天専用タイヤを使用しています。つまり、F1タイヤの溝は、雨の日にだけ必要なものです。
飛行機のグルーブドタイヤの溝には、水を排出する機能も有りません。

D.「飛行機も雨天専用タイヤに履き替えるの?」
数時間飛行する飛行機は、出発地と到着地では天候が変わってしまいますが、飛行中に履き替える事は出来ません。
タイヤが雨天時のトレッドと路面の間に入った水の排出をやってくれないのであれば、路面にやってもらいましょう。
飛行場の路面、滑走路に幾つもの溝を切り、この溝に水の排出の機能を持たせていますから、雨の日も大丈夫です。(All Weather runway)

E.「飛行機のタイヤに溝は必要なの?」
→次回に続きます。お楽しみに。

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