祝 無事故運航| アルファーアビエィション

祝 無事故運航

航空機事業会社23年間の歩み

2015年8月21日
アルファーアビエィションは会社設立から30年、そして航空機使用事業免許を取得して国内で航空事業を開始してから23年を迎えました。
今日は、創設者である社長にお話を伺います。

①取得の動機は何ですか。
1990年はバブル経済の絶頂期でした。その時は不動産会社がヘリ会社を作り、ゴルフ場へとヘリコプターを毎日飛ばしていました。パイロットは体系的に養成されるのではなく場当たり的に非効率かつ安易に養成されていました。当時から私たちはアメリカの民間、米陸軍、米海軍がどのように養成しているかを研究していました。国際標準とされる養成システムの構築には独自の航空機使用事業の取得が必要となったのです。

②その当時の苦労はどのようなものでしたか。
1996年までは航空業界には需給調整条項がありました。つまり既存の業者がOKを出さない限り新しく航空会社が始められないのです。既存業者の権益を損なわないとの証明は企画書を作り業務受託してくれるか否かを各会社を廻り募り、すべての会社が拒否すれば独自の航空会社の免許を出すという信じられないプロセスを経ての事業免許取得でした。

③現在はどのような仕事をしているのですか。
私どもの会社では、飛行機の事業も拡大しヘリコプター事業とともに、飛行訓練、空撮、報道取材、機体販売、整備支援を行っております。

④無事故での運航の努力
危ういと思うことには私のセンサーが働き、みなさんに改善して貰います。
細かく気づくこと、それをすぐ担当者に確認すること、そしてすぐ行動すること、全員に通知することを徹底しています。毎日の各部署との連絡、毎月の安全会議を欠かさず実行しています。

⑤航空機運航の苦労について教えてください。
人は、はじめから居たわけではありません。先ずは育てようと思っている人と過渡的な人をコンビネーションして桃栗三年柿八年の気持ちでその人物を信じて投資するのです。他人に投資をするのは、性善説で人を信じることです。その人が成長して後輩を育てるようになると会社も成長していきます。そこまでの辛抱が大切で、人を育てるための資金確保も経営者としては、大変なことです。

⑥23年間の経緯について教えてください。
軌道に乗せるまで数々の苦労がありました。ヘリコプター2機からスタートしましたが現在は、R22が9機、R44が3機、R66 1機、A109C 1機。飛行機は、DA40 2機 、DA42 1機、C172 1機を運航しております。

とにかくインフラも整ってないところからスタートですから格納庫建設するまでの地方自治体との調整、許可申請、建設、確認検査など信じられないくらい多くの工程と許可と検査が続くのです。新機種を導入するにも数カ月も許可に時間がかかるのです。
外部の方は、この長い稼働もしない時間を考慮しないので経営としては、本当に大変です。世界共通の機体を使用しているのですが最近では、アジアの各国許可も早く日本より数年はやく導入し運航実績を上げパイロットも整備士も稼働できる時期が早い分経歴が増えるので地理的なファーイーストといわれるだけでなく技術的な遅れも深刻です。
アジアでは、海外から経験豊富なパイロットの採用も盛んですし想像以上に航空業界は、発展しています。日本は、いつの間にか遅れをとっています。
そのような遅れを生じないためには、書類審査や申請受理などの審査期間を短くしていただければと思います。
色々な製造会社と交渉しますが各社「何故、あなたの国だけそのような書類がいるのか? ほかの国ではそのようなことを要求しないので理解できない。」といわれ新しい機材が装備できない、何億円もする機体が輸入できない問題も生じております。
世界は、小さくなり商売のスピードも凄く速いので国際標準速度で対応していただかないと遅れている日本が甦らない恐れがあります。

⑦23年間の業績は素晴らしいものですね。
沢山の「日本で初めて」を達成できました。
「世界ヘリコプター選手権」これはヘリコプターのオリンピックですが、世界中から軍と民間が混成の国、軍だけ参加の国、機種も様々で参加します。強豪のロシア、アメリカ、イギリス、オーストリア、スイス、フランスなど常連国は、各競技での得点方法や作戦にも長けており審判陣も自国を勝たせるしたたかな戦術を持ち合わせているので、参加することに喜びを抱いて彼らからみれば遙かかなたの小国日本からの参加など、どの国もマークしていませんでしたが、いきなり初戦の競技で強豪ロシアに数秒差で勝ち1位の名誉とメダルを手にしたのが1999年夏のドイツです。これは、各国から賞賛を浴び、ロシアを愕然とさせました。その後ロシアの監督から君たちの操縦を細かく研究するからとお手紙をいただきました。それから2000年スペイン、ドイツ、2001年オーストリア、2002年オーストリアと参戦しすべての競技で1位、2位、3位を獲得し強烈な印象を各国に与えることになりました。
我々がメダルを取得するまでは、ロビンソンでは、勝てないとの定説を打ち破りました。 ロビンソン社の日本代理店の資格を得、型式証明取得成功の実績を出せたこと。これは、世界でもロシアに次ぐ快挙でして、その当時小型機(2人乗りのヘリコプター)で型式証明を取得しようなど考えた会社もなく通常旅客機で型式証明を取得していました。今年デビューしたR66についても型式証明取得、タービンエンジンRR300の製造会社ロールスロイス社のサービスセンターも取得しました。また飛行機でもダイアモンド社の日本総代理店の資格を取得し型式証明成功の実績を出せたこと。日本で初めてセスナ172のエンジンをディーゼルエンジンに換装し話題を呼びました。燃費も馬力も向上しました。そのほかGPSで有名なガーミン社の正規サービスセンターを取得し、訓練機で使用しているDA40、DA42の標準装備ですから情報更新、修理などの対応も早くできます。ASPEN社の代理店も取得し訓練機であるロビンソンR22に日本で初めて装備しました。そのほか数々の機体整備に必要な会社のサービスセンターを取得し顧客の機体整備を円滑に安全に整備する体制を整えました。

⑧23年間で得たものは、何がありますか?
ロビンソン社の社長にお会いできたこと、わが社の1号機に社長が私と飛んでくださったこと、その時、安全についての講話を直接してくださったこと。社長自ら工場案内をしてくださったこと。その後ディーラー権取得の交渉にも社長が対応してくださったこと、社長の不屈の精神力と研究心に勇気をいただきました。現在では、ロビンソンの機体R22、R44、R66がヘリコプター販売機数で世界一です。
会社は、人で成り立つ。安全継続第一の社風に合うように教育を継続し経営者と社員、相互で切磋琢磨し連絡を密にし、心を一つにする努力を重ね新しいことにも挑戦し、継続することは、きちんと継続し人材育成も実施しているこの毎日の積み重ねを得ることができました。

⑨どのような未来像がありますか。
基本的なポートフォリオ構造(一般人の訓練、大学向け訓練、官庁向け訓練、機体整備、機体販売)を構築できたので安定した経営を目指し、人材教育にも力を注ぎ、日本人だけの免許制度ではなく、海外の技術を取り入れるべく有能な人材を雇用していきたいので、その経歴を考慮した試験制度の見直しもお願いできればと考えております。これでは少子化のなか高齢者を長期雇用するのも限界があり、海外から有能な人材確保も緊急課題ではないかと考えます。

⑩今後どのような会社を目指しますか。
業界のリーディングエッジとして、イノベーションを提供し続けます。コツコツと色々なことに挑戦し、いつのまにかに業界のディファクト・スタンダードになることを続けていきます。 これは正に「エクセレント・カンパニー」となります。

⑪最後に日本の航空業界の将来はどうでしょうか。
進歩を受け入れて、世界の趨勢を見てそれに乗り、世界をリードしていく。
それができれば伸びていきます。しかし自分だけの世代の利益しか考えない人達に支配されていけば衰退の一途を辿るかもしれません。

なかなか普段、伺うことのできない忌憚のない意見をありがとうございました。

 

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