#15 「これから日本で必要とされるエアラインのパイロットとは?」(2009/08/22)| アルファーアビエィション

#15 「これから日本で必要とされるエアラインのパイロットとは?」(2009/08/22)

アルファーアビエィションが今回お届けする、ミニレポートは、「これから日本で必要とされるエアラインのパイロットとは?」です。

「これまでのエアライン・パイロットに要求されていたもの」

これまでのエアライン・パイロットに必要とされていたものは、航空機を操縦するための技術です。環境の変化に対し、パイロットが計器や外を常に観察しながら、操縦かんやエンジン出力、トリムなどの細かな調整をし、高度や方向を維持、コンパスや航法装置、地図を見ながら飛行経路上を外れないように飛行するための技術、正確な着陸操作などが必要とされていました。しかし、近年、航空機の技術が進歩し、これらのほとんどのことを、飛行機が自動で行ってくれるようになってきました。また、RNAV(広域航法:地上施設の配置に左右されず柔軟な経路設定が可能な運航方式)やGPWS(対地接近警報装置)など、新しいシステムが次々と出てきています。つまり、今までのパイロットに必要とされてきたものとこれからのパイロットに必要とされているものは、異なってきていると言えるのです。

「これからのパイロットに必要とされるもの」

では、これからのパイロットに必要とされるものとは、いったい何でしょう。エアラインパイロット、自衛隊のパイロット、民間企業のパイロットとして活躍してきた、当社のベテランの教官パイロットたちに、聞いてみました。

1.人間的な力
マネジメント力、コミュニケーション力、幅広い知識などがこれからのパイロットに必要とされます。特に、日本だけでなく、グローバルな視点にたった知識(それぞれの国や地域の文化の理解、言語の理解など)が必要とされます。また、チームとして働くため、人をまとめる力、コミュニケーションの力がこれからますます必要とされるでしょう。

2.基礎知識
今後の航空機はすべて高度な技術・コンピュータ制御等の固まりであり、操縦技術の取得と併せて高度な情報処理システムへの理解が要求されます。従って少なくとも工学系の知識を兼ね備えたパイロットが必要とされています。また、日々技術が進歩し、RNAV(広域航法)やGPWS(対地接近警報装置)など、新しいシステム・仕組みが次々と導入されています。そのようなシステム・仕組みに対応するため、日々新しいことを勉強し、知識をつけていくことが必要です。そのためには、初期段階から、基礎知識をきちんと身につけておく必要があります。土台がしっかりしていないと、いくら新しいことを学んでも身に付きづらいからです。

3.操縦技術
もちろん、操縦技術は、昔と変わらずパイロットには、必要です。しかし、これからの航空機は、練習機を含めて、操縦そのものは簡単にできるように設計されています。ただし、ある部分にトラブルが生じた場合などの、対処要領がより複雑化している傾向がありますので、緊急事態に対する対処能力が強く要求されてくるでしょう。

4.訓練の心構え
訓練における心構えです。どれも基本的なことですが、大切なことです。
(1)決められた期間で訓練が終了できること。
(2)決められた手順が、確実に出来ること。自分で勝手に手順を変えたりしないこと。
(3)わからない事は、いつでも遠慮なく質問し、疑問点を先へ持ち越さない事。
(4)自分のノートを作り、操縦についての財産とすること。
(5)常に教官や他人の意見や忠告を素直に聞く態度であること。

5.次世代の航空機の操縦方法
大型のジェット機などは、今までの小型機の操縦特性と異なる部分があると言われています。例えば、着陸時の操作方法です。また、大きな特徴として、グラスコックピットであること、FMS(フライト・マネジメント・システム)と呼ばれるコンピュータが飛行機を制御していることが挙げられます。これからのパイロットに求められるのは、これらの機械をうまく使いこなすだけの知識と判断力を身につけることです。

「アルファーアビエィションで身につけられるもの」

アルファーアビエィションでは、いち早く、最新の技術をもとに造られているダイヤモンド社の飛行機を導入するなど、次世代のパイロットの養成に向けた訓練環境を整えてきました。初期訓練から、大型のジェット機等で使用されるようなシステムを搭載した航空機ダイヤモンドDA40型や双発機のDA42型で訓練することで、最新のシステムに対する理解や操縦特性、緊急時の対応方法への慣熟を行うことができます。特に、グラスコックピットに慣れることは、将来、非常に大きな財産となることでしょう。

また、日本において、教育の経験豊富なパイロットによる、訓練を行うことで、質の高い操縦技術はもちろんのこと、操縦技術以外の安全に対する姿勢や人間的な力についても、身につけられるよう、教育を行っています。特に、当社では、創業以来23年間無事故というすばらしい記録を持っています。これは、安全に対する意識やリスク管理が隅々まで機能しているためです。このような、安全管理能力についても、当社では、学ぶことができるのが特徴です。将来、パイロットとして働くときには、多くの人の命を預かることになります。訓練の初期段階から、安全意識を高めておくことは、非常に重要なことなのです。

(おわり)

本レポートは、作成時点での意見・予測であり、予告なしに変更になることがあります。また、本レポートは、情報提供のみを目的としており、サービス等の販売を目的としたものでは、ありません。

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