#12 「航空機が日本の空を飛ぶために必要な手続き」(2009/07/10)
アルファーアビエィションが今回お届けする、ミニレポートは、「航空機が日本の空を飛ぶために必要な手続き」です。
「耐空証明とは?」
ここで、まず、航空機が日本の空を飛ぶために必要な耐空証明というシステムから説明したいと思います。
航空機が日本の空を飛ぶには、「この航空機は、耐空性を有する」という国土交通大臣が発行する耐空証明書が1機ごとに必要となります。
耐空性を有するというのは、具体的には、「耐空性審査要領」に記載されている安全性の基準を満たしているということです。この基準を満たしてないと、その飛行機は耐空性をもたないということになり、飛ばすことができません。
次にその手続きについてです。
この耐空証明を受けるには、次の3つの方法が存在します。
(1)通常の耐空検査
設計、製造過程、現状の全てが詳細に検査されます
(2)ICAO条約締結国が輸出耐空証明書を発行している場合
設計、製造過程は書類にて検査され、現状の検査が実機を使用して行われます
(3)日本の型式証明が発行されている場合
日本と同等以上の検査を実施する外国の航空当局が、輸出耐空証明書を発行していれば、日本では実際の検査は行われません。また、国があらかじめ認定した航空機製造者が航空機の完成後の現状まで確認した場合も同様です。
1<2<3の順に簡略化されています。
「型式証明とは」
型式証明とは、設計の耐空性を証明するものです。
これまでの輸入航空機は航空局の一機毎の個別検査に合格した上で耐空証明書を取得していました(1)。しかし、航空局技術部航空機安全課の工場検査などを経て型式証明を取得することにより、大幅にこの検査が短縮されることになります(3)。航空機製造者の検査合格書を航空局の窓口に提示し、耐空証明書に交換することで日本での実機検査は一切省略されることになります。これによって、よりスピーディーにお客様に航空機をお届けすることができるのです。
「DA42が日本の型式証明を取得しました」
アルファーアビエィションは、2009年6月22日 ダイヤモンドエアクラフト社の日本での技術代理会社として国土交通大臣よりDiamond DA42の型式証明書の交付を受けました。
同社の製造するモデルDA42 Twin Starは次世代の航空機と称され、空気抵抗の少ない美しいフォルム、グラスコクピットの採用、ディーゼルエンジンの設定による高い経済性、FRP素材の優れた衝撃吸収性(クラッシュワージネス)等、今までの航空機にはない数多くの特徴があります。
特に、今回のDA42 Twin Starは、航空機のディーゼルエンジンのリーディングカンパニーであるCenturion社のCenturion 2.0を搭載した双発機で、日本で初めてディーゼルエンジンを搭載した小型航空機の型式証明の取得となります。
ボーイング747やエアバス、サーブ等の輸送T類、C類の大型航空機以外では、飛行機、ヘリコプターを含めて、海外メーカーの型式証明の取得は当社が2002年に取得したRobinson R22・R44が初めてした。今回のDiamond DA42での型式証明の取得は、ディーゼルエンジンを搭載した小型機での最初の型式証明の取得となります。世界最先端の技術を国内に導入する という大きな役割を果たせたことをうれしく思っております。
(おわり)
本レポートは、作成時点での意見・予測であり、予告なしに変更になることがあります。また、本レポートは、情報提供のみを目的としており、サービス等の販売を目的としたものでは、ありません。