#17 「小型航空機用のディーゼル・エンジン」(2009/09/28)| アルファーアビエィション

#17 「小型航空機用のディーゼル・エンジン」(2009/09/28)

アルファーアビエィションが今回お届けする、ミニレポートは、「小型航空機用のディーゼル・エンジン」です。

「小型航空機用のディーゼル・エンジン」

小型航空機でいち早く最新の技術を採用する航空機製造メーカー、ダイヤモンド社。今回は、ダイヤモンド社が製造するDA40 TDIやDA42に搭載されているディーゼル・エンジンについて、ご紹介いたします。

「ディーゼル・エンジンの仕組み」

まず、ディーゼル・エンジンとガソリン・エンジンの違いについて、説明します。

ガソリン・エンジンは、まず、エンジンの空気取り入れ口から取り入れた空気に、燃料を噴射あるいは気化させ、混合気にします。その後、シリンダーの燃焼室に、混合気が入り、圧縮され、点火栓で点火されることによって燃焼します。そのため、出力は、燃焼室への混合気の量を調節するスロットル・バルブによって制御します。

一方、ディーゼル・エンジンは、まずシリンダー内に空気を吸い込み、その後、ピストンが上がり、空気が圧縮され、高温になります。そこに、高圧の燃料が噴射され、燃料が自己着火し、燃焼します。出力は、噴射される燃料の量によって制御します。そのため、ガソリン・エンジンにあるようなスロットルバルブや点火栓、マグネト等がありません。

「コモン・レールとは」

ダイヤモンド社の航空機に搭載されているディーゼル・エンジンは、コモン・レールという技術が用いられています。次に、このコモン・レールという技術について、説明します。

コモン・レール式燃料噴射装置は、最先端のディーゼル・エンジンの燃料噴射装置です。コモン・レールとは、インジェクターと呼ばれる燃料噴射ノズルに燃料を供給する、燃料の高圧リザーバーと言えます。例えると、風船の中に高圧の燃料を入れておき、必要な量だけ、風船の口に設けた弁で噴射する方法です。

コモンレールは、レールと呼ばれる容器に高圧の燃料を溜めておき、エンジンの回転数や負荷に関係なく噴射圧力を調整して噴射できる、という特徴をもっています。また、電子制御によって最適な時期、圧力で燃料を噴射することができます。

コモンレールは以下の4点の装置からなっています。

・燃料を高圧にしてレールへ送るポンプ
・ポンプから送られてきた高圧の燃料を溜めておく容器(レール)
・高圧の燃料を噴射するインジェクタ(1気筒あたり1つずつ)
・コモンレールの制御装置であるECU(主に圧力と燃料の噴射量とタイミングを制御)

「ディーゼル・エンジンのメリット」

最後に、ディーゼル・エンジンのメリットを説明いたします。

・ガソリン・エンジンに比べ、構造が単純で故障発生確率も低い
・使用燃料が広範囲でジェット燃料での運用も可能であり、経済的運航が可能
・燃料消費率が低く、排気ガス中の有毒ガス濃度も低いため環境に優しい配慮

日々、進む航空機の技術。空がますます便利になってきています。   

(おわり)

本レポートは、作成時点での意見・予測であり、予告なしに変更になることがあります。また、本レポートは、情報提供のみを目的としており、サービス等の販売を目的としたものでは、ありません。

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