航空豆知識#213 ローターブレードのトリムタブ| アルファーアビエィション

航空豆知識#213 ローターブレードのトリムタブ

アルファーアビエィションの飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評でためになる航空豆知識。今回は当校のヘリコプター操縦教官がお届けします。

【 ローターブレードのトリムタブ 】

いろいろなヘリコプターを間近で見てみると、ロータブレードの後ろのほうに小さなでっぱりがついていることに気が付きませんか?

この写真はRobinson R22のブレードの写真ですが、もちろんR22のブレードにも小さな板があるのですが、いったいこれは何をしてくれているのでしょうか?
実はこれ、ただのデザインや補強材なのではなく飛行中に感じる不快な振動を軽減してくれるとても重要な部品なのです。

この部品の名前は「トリムタブ Trim Tab」といいます。
今回このトリムタブの部品の役割と仕組みについてわかりやすく解説していきます!

ヘリコプターが飛行する際ローターは高速で回転しています。この時にわずかな上下左右のバランスのズレが生じてしまい振動が発生してしまいます。このズレによってトラッキング不良(ブレードの軌跡がずれること)が発生してしまいます。トラッキング不良による振動の影響は大きく、機体の操縦性・機内の快適性に大きく左右してきます。

そんな振動を減らすために登場するのがトリムタブです。トリムタブはロータブレードの後ろに取り付けられた小さな板のことです。タブにあたる空気の流れをかえることによってブレードをしならせ、揚力のバランスを調節する役割をはたしています。

この調節が非常に繊細で、コンマ単位の調節が必要になります。専門の整備士がブレードの先端に反射テープを貼り、ブレードを回転させながら専用のフラッシュライトをあてることで可視化して航跡を確認しやすくしています。
そこから、熟練の整備士の方々がズレを確認してトリムタブを調節していきます。
最近の大型ヘリコプターになると、この作業をコンピューターが自動で計算をして、振動が少なくなるよう調節してくれています。

さらにトリムタブは、若干のちがいはありますがヘリコプターだけではなく飛行機の翼にも広くつかわれており飛行中機体の安定性を高め負担を軽減してくれる重要な装備になります。
R22などの小型のヘリコプターはほんの少しの振動が操縦性や快適性に大きな影響を与えます。
普段は目立たないパーツですが、快適で安全な空の旅を支える縁の下の力持ちなのです。
安全飛行には欠かせないパーツ、機会があればぜひ見てみてくださいね!

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