下妻へリポートから八尾空港までのロングナビを体験して 佐久間| アルファーアビエィション

下妻へリポートから八尾空港までのロングナビを体験して 佐久間

私はアルファーアビエィションで事業用の訓練を行っている者ですが、6月に教官から、8月末に機長での300km野外飛行経験を充足させるために八尾空港まで行かないか、と言うお誘いを受けました。

事業用操縦士技能証明申請時の飛行経歴として必要な、300km以上中間において2回以上の生地着陸を含む野外飛行をやる必要があり、訓練進度からいっても時期的に丁度良いので、願ってもないチャンスとばかり是非体験させてほしいと返事をしました。何といっても関東から関西までのロングナビゲーション、ざっと255マイル(約470km)以上を続けて飛行するのです。普段の訓練では得られない事がたくさんあるはず。途中の生地着陸地は、静岡へリポート、津市伊勢湾ヘリポートの2カ所です。

29日朝、7時に下妻へリポートを離陸。天気は晴れ、風は静穏、少し煙霧が出ているおだやかな朝でした。針路南西方向、高度を2500ftでまずは伊勢原まで一直線で飛行しました。気流も安定していたし、早朝なのでトラフィックも少なく快適な飛行でした。 次に、西に針路を取り箱根の山越え。3通りの方法を考えてました、それは高速道路に沿って御殿場を抜けるコース、芦ノ湖上空を通過するコース、そして伊豆半島方面を経由するコースです。

天候は良かったのですが秦野の方に進むと前方高速沿いのコースは谷間に雲があり無理そう。でも伊豆半島を回る程ではないので芦ノ湖と富士山を両手に眺めるように飛行しました。笠をかぶった富士山をこれほど間近にそれも飛行しながら見ることが出来たのはとてもラッキーでした。その後は順調に進み静岡へリポートには8時50分に到着しました。給油後、夢中で飛行していたせいからか、のどがからからになっていたので待合室でジュースを飲みながらちょっと一服し、事務所2階でWXをチェックしました。

次の津市伊勢湾ヘリポートまでの天候も問題なさそうと判断し、9時15分離陸。まずは遠州灘に出るべく南西に針路を取り飛行しました。ここからしばらく海岸沿いに飛行。浜松TCAにコンタクトしアドバイザリーを受けながら飛行し、クロスCZの許可を受け管制圏を通過しました。その際浜松にアプローチしていくB767早期警戒管制機に遭遇し、TCAから高度を900ft迄下げるように、そして後方乱気流に注意するように指示受けました。B767早期警戒管制機は背中に円盤状のレドームを取り付けて有る、普段なかなか見ることのない機体。緊張を伴う良い経験でした。

その後蒲郡へ向け、そこから知多半島を通過しこの先、津ヘリポートまでは洋上飛行ですが、視程も良く対岸がかすんで見えるほどの良さでした。対岸以外の目標になるものが海のうねりや海上に浮かぶ大きいフェリーなど、飛行に必要な情報が地上よりも少ないので計器のチェックと見張りを良くしながら、そして名古屋空港のATISも聞きながら、対岸に向かってひたすらまっすぐ飛ぶことに専念しました。伊勢湾に浮かぶような感じで中部国際空港が見え、滑走路も確認でき結構出来上がってるなあという印象を持ちました。

津市伊勢湾へリポートはかなり手前からあそこかな?と目安を付けていたところがピッタリだったので探し回ることなく、レポートを入れながら着陸出来ました。ここはエンジンを止めずに使用届と着陸料を払ってそのまま11時に離陸。鈴鹿の山脈を越えて八尾空港に向かうべく最後のコースに出発しました。天候は相変わらず晴れ。

この夏は天候が不順で数日前から教官に、君は晴れ男か雨男か?と何回も聞かれ「晴れ男です」と答えた通り面目躍如、八尾空港まで問題なさそう。津から青山峠を越え奈良の盆地までは山岳飛行が有りますが、飛行してると初めての所なのに何故か妙に飛行したことがあるような気がして仕方がありません。少し考えていたら、山並みの感じが北関東の烏山から大子のあたりに似てることに気が付きました。これで、気持ちに余裕を持つことが出来ました。奈良に入ると周りは開け、進行右手には東大寺、そして法隆寺が見えちょっとした上空からの観光見物になりました。

前方、大阪の巨大な密集地が目の前にせまってきます。八尾空港に着陸する前に、飛行場の使用状況を知るために周波数を合わせ、他機の通信を聞き、現在の使用滑走路を確認してから通信の合間を縫って連絡を取りました。タワーから着陸許可をもらってRWY27方向をストレートインするかたちでヘリパットに向けアプローチし着陸しました、11時40分到着。

八尾空港が見えてからアプローチの間、着陸するのは初めてなのにそんな気がしなかったのは、オーストラリアで訓練していたマンガロア空港に八尾空港が似ているのと、アプローチするヘリパットの位置もほぼ同じ位置関係に有るという共通性があったからでした。オーストラリア経験が生きたのでうれしくなりました。 無事にロングクロスカントリーを終えて、心地よい疲れと達成感でとてもうれしく自分の身になる事が多いながらも楽しいフライトでした。

帰ってから訓練仲間に、箱根越え、見事な富士山、浜松TCAとのやりとり、洋上飛行、八尾空港など道中の話を聞かせ、相当羨ましがられたことは言うまでもありません。 この体験を生かして引き続き頑張ります。チャンスを与えてくださったアルファーアビエィションの皆様、有り難うございました。

佐久間 真吾

2003年8月29日

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