トリビアの泉の『トリビアの種』 ボーリングの球VSトランポリン
「トリビアの種」 ビハインド・ザ・シーン
簡単そうな、思い付きのような、ほんの一瞬のシーンでも、それを創り出した人達にとってはドラマが有る。
フジテレビさんから「トリビアの実験でボーリングの球を100メートル上空からトランポリンに落とし、跳ね上がる高さを測定したい」とのオーダーをいただいた。
この実験をおこなうには、次のような問題点が有った。
1.100メートル上空でホバリングするのは非密集地での最低安全高度150メートル以下なので国土交通大臣から最低安全高度の除外許可を得なければならない。
2.物件の投下をおこなうので、国土交通大臣に届け出なければならない。かつトランポリンに落下後、跳ね返るので安全管理体制を確立しなければならない。
3.損害保険会社に対し、本案件に関してリスク通知の上、万一の際の保険を締結する。
4.たった1.9メートル×3.5メートルのトランポリンに100メートル上空から、ボーリングの球を命中させることができるか?
国土交通大臣、実際は航空局となるが、許可部分と届け出部分が一本の申請となる。
つまり物件投下は届け出ではあるのだが、航空局が納得してくれなければ前提の最低安全高度の除外許可がもらえないことになるので、説得力のある資料の作成が必要だった。
各大学機関やトランポリン製造会社の協力のもとボーリング球の反発予測の計算をおこない申請書に添付して、許可にこぎつけた。
そして損害保険会社だが、最初はリスクが予想できないとして契約に否定的だった。
安全対策や会社の経験と実績を説明し、5億円の賠償保険契約の締結に成功した。
実験当日、予想はしていたが100メートル上空からのトランポリンはたばこの箱ぐらいの大きさしか見えなかった。「難しい」とパイロットと投下担当は内心焦った。
下には70人のスタッフと20台のビデオカメラがスタンバイしている。
同僚の操縦する撮影用のR44ニュースコプターも斜め上空にスタンバイしている。
地上からの誘導員の指示が無線に入ってくる。パイロットは下を見るとホバリングが乱れてしまう。誘導員と投下担当の言葉だけを頼りに100メートル上空でセンチ単位の修正をした。ホバリングの中心とする目標は無いに等しかった。ただ五感に頼ったホバリングが続いた。一投目、力みすぎてしまった、はずした。二投目、50センチまで近づいた。3投目、投下担当の声、「当たった、跳ね返った」
地上より「成功です、降りてください」との無線が入る。
実験成功だ。
「100メートル上空からトランポリンにボーリング球を落とすと‥」
答えは「トリビアの泉」でご覧ください。