航空ライターまさるの訪問日記 福島運航所
本日、訪れたのは、2008年5月に開校したアルファーアビエィション福島運航所だ。当校は、福島空港内に格納庫と事務所を構えている。
今回の訪問記事では、アルファーアビエィションで使用している機体の特徴、アルファーの訓練環境、教官の紹介などを中心に書きたいと思う。◆最新鋭の機体“ダイヤモンド式DA40型”
航空機のコックピットと言えば、多くの計器(速度計や昇降計、高度計など)を想像する方も多いと思う。しかし、近年の航空機は、一昔前の丸い形の計器盤の中に針で数値をさすアナログな計器ではなく、ディスプレイの中に計器自体が表示されるデジタルの計器(グラスコックピット)なのだ。
ジャンボジェットなどのエアラインが使用するような大きな機体は、このようなグラスコックピットが当たり前になっているが、小型航空機では、まだアナログの計器を搭載しているものも多い。そんな中、アルファーで使用している“ダイヤモンド式DA40型”は、小型航空機であるにもかかわらず、最新鋭のグラスコックピットを搭載しているのだ。
教官いわく、「初等教育からこのようなグラスコックピットで訓練することによって、ジャンボジェットなどの大型機への移行が楽になるんです」。とこの機体で訓練を行うメリットを語ってくれた。
◆アルファーアビエィションの訓練環境
次にアルファーアビエィションの訓練環境について書きたいと思う。
福島運航所がある福島空港は、2500mの滑走路を持ち、エアラインの離発着もある空港で、空港設備も整っている。このような立派な施設を持つ福島空港だが、混雑した空港にありがちな「エアラインのために、離発着するまでに長時間待たされる」といったことが比較的少なく、訓練を行うには非常に適した環境であるとアルファーの教官は話す。
また、空中での操作方法の練習などを行うための空域も福島空港から近く、効率的な訓練が可能だという。
2007年12月に完成したばかりの新しい教室で気持ちよく飛行前後の座学訓練を行えるのも訓練生にとってはうれしい。
◆教官の紹介
運航部長を務めるのは、青山さん。ロビンソン式R22などの小型回転翼からシコルスキーなどのパワーのある回転翼さらには、飛行機、グライダーまで自由自在に乗りこなすというから驚きだ。その実力は、世界ヘリコプター選手権フリースタイル金メダルという実績にも表れている。また、青山さんが教えた訓練生数は、少なく計算しても700名を超えるという。
次にご紹介するのは、宮澤さん。日本が誇るトップガン。前職では、戦闘機を操縦していたという。その操縦技術は折り紙つき。新型式のダイヤモンドもすぐに乗りこなしてしまった宮澤さんには、青山さんも驚いたという。宮澤さんの経歴を聞いたときには、どんな厳しい人が来るのだろうと緊張していたが、話を聞いているとイメージとは反対に非常におもしろい方だということがわかった。
その他にも、アルファーには優秀な教官がそろっている。中には、アルファーを卒業して、教官として帰ってきた人もいるという。
アルファーでは、このようにベテランの教官陣をそろえている。この理由を青山さんはこう説明した。「海外では、飛行機の教官は、1時間20ドルで仕事しているのが実情です。彼らの目的は、自分の飛行時間稼ぎのため。教官をして飛行時間を稼ぎ、1500時間になったらコミューターなどに転職して、キャリアアップをはかっていくのが一般的なのです。だから当社の教官のように、経験豊富で、生徒を安全に育てるというミッションで真剣に教育をしてくれる教官を捜すのは至難の業なのです。」
また、他の教官はこう話す。「三つ子の魂百までもというように、パイロットにとって初期訓練は非常に大事。最初に基本的なことをしっかり身につけた人は、その後の上達も早い。」
◆取材を終えて
取材を終えて、感じたことは、アルファーは、機体、訓練環境、教官、どれをとっても非常にすばらしいものを訓練生のために用意しているということだ。このようなところで訓練を行える人は非常に幸せだと感じた。