航空豆知識#167 「滑油シールの秘密」
アルファーアビエィションの飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。 今回は、「滑油シールの秘密」についてためになる情報をお届けします。
皆さん、下の写真の赤丸で囲われた部分(「滑油」と記載されたシール)を見て、このボックスの中に何が入っていると思いますか?
「オイル」と答えた方は非常に素直な方です。
「バッテリー」と答えた方は、飛行前点検をしっかり実施している方です。
この容器はバッテリーを保持するための容器で、中身はバッテリーです。
そうすると、なぜバッテリーの容器に「滑油」のシールが貼ってあるのか疑問に思いませんか?
耐空性審査要領の「標識及び掲示板」に
「滑油の注入口には、キャップの上又はその付近に「滑油」という文字を表示しなければならない。」
という規定があります。
この「滑油」のシールの上方奥にエンジンオイルの注入口(写真の黄丸)があり、
エンジン本体にはシールを貼れないのでこの位置に貼ってあります。
過去に、実地試験の飛行前点検中に試験官から、このシールを指さして
「中身は何?」
「なぜバッテリーに滑油のシールが貼ってあるの?」
と質問された受験生がいましたが、当然適切に解答し、合格しました。
同種の内容ですが、耐空性審査要領には、
燃料の注入口には、キャップの上又はその付近に次の事項を表示しなければならない。
1 「燃料」という文字
2 ピストン発動機を装備した回転翼航空機にあっては、燃料の最低の等級
と規定されています。