航空豆知識「飛行機の重心位置計算」その3| アルファーアビエィション

航空豆知識「飛行機の重心位置計算」その3

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
以前に「飛行機の重量計算」シリーズをお届けしましたが、ただ今「飛行機の重心位置計算」について飛行機の教官がためになる情報をシリーズでお届けしています。

飛行機の重心位置計算(その3) アームとモーメント
今回は「アーム」と「モーメント」について説明します。

「アーム」とは、基準となる線から各搭載物までの水平距離を言い、単位はインチ又はm(cm)で表されます。
飛行機の設計者が基準となる線を決め、設計の段階で各搭載するであろう場所の距離をあらかじめ計測して「重量及び重心位置」の図や表に表示しています。
例えば、操縦者の座席や荷物室等までの距離が表示してあります。

「モーメント」とは「力の能率」のことで、「物体の重さ×基準点からの距離」で表されます。
「モーメント」の単位は重さがポンド、距離がインチで表されるときは「ポンドインチ(Lbs-Inch)」、重さがキログラム、距離がメートルで表されるときは「キログラムメートル(Kg-m)」 となります。

飛行機がその重量を中心に釣り合いを保っている場合に、重心位置よりも前の方に重い物を乗せると、重心は前方に移動して、機首下げのモーメントが働きます。
反対に、重心位置よりも後ろの方に重い物を乗せると、重心は後方に移動して、機首上げのモーメントが働くことになります。

基準線はすでに決められたある特定の場所となっていて、重心位置とは別の位置になっているので、重心位置を計算で求める場合には、機首下げのモーメントが働く力を「-」で表し、機首上げのモーメントが働く力を「+」で表します。
すなわち、基準線より前方に物を置いた場合、その「アーム」は「-」となるためモーメントも「-」になり、逆に、基準線より後方に物を置いた場合、その「アーム」は「+」となるためモーメントも「+」になります。
そして、積んでいる物を取り下ろした場合は、この逆になります。

このように、「アーム」及び「モーメント」については、基準線からの位置について考えなければなりません。
通常の機体の場合には、重心位置以外の場所に基準線が設定されていて、全ての搭載物のアームをこの基準線からとっているので、重心位置の如何にかかわらず、基準線を中心としてその「モーメント」は、搭載については前方を「-」、後方を「+」として、取り下ろす場合には前方は「+」、後方は「-」となります。

次回は「基準線」について説明します。お楽しみに。

飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。

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