アルファーアビエィションの航空豆知識「飛行機の着陸進入時の姿勢」
アルファーアビエィションの飛行教官、整備士がお届けする毎回大好評の航空豆知識。
今回は「飛行機の着陸時の姿勢」についての知識をお届けします。
飛行機の着陸進入時の姿勢
空港の見学用のデッキで着陸してくるジェット旅客機を見ていると、これからまさに着陸しようとする飛行機が、離陸するときのように機首を上げた姿勢で滑走路に進入してくることにお気づきでしょうか。
着陸のために高度を下げなければいけないときに、なぜ機首を上げなければならないのでしょうか。
その最大の理由は、速度を遅くするためです。
高度を下げるために機首を下げた状態にすると、飛行機は構造上、速度が速くなるようになっています。
着陸する際に、飛行機の速度が速くなると、着陸装置へのダメージも大きくなり、加えて滑走距離も延びることになり、結果的に危険な状態を招くことになります。
飛行機の機首を上げると、上げた直後は一時的に揚力が少し上がりますが、その後は迎え角すなわち飛行方向に対する主翼の角度が大きくなることによって抗力が増加してきます。この抗力のために飛行機の速度は急激に減少します。
そのままでは飛行機は失速を起こしてしまいますので、パイロットはエンジンの出力を上げて、機首を上げた状態を維持しながらなるべく遅い速度で滑走路上に着陸します。
一方小型の飛行機は、もともと巡航で飛行する速度と着陸での進入速度に大きな違いがなく、そのため機首を下げて進入しても大きく加速することはありません。
とはいっても、小型飛行機でも進入速度をなるべく遅くすることは大型機と同じく必要なので、主翼の後ろに取り付けられたフラップを使用して遅い速度を維持して進入します。
滑走路の末端を通過するまでは機首を下げた姿勢を維持して、接地の時には後ろの車輪が先に着くように、末端通過後に「返し操作」と呼ばれる機首上げを行います。
アルファーアビエィション福島運航所ではダイヤモンドエアクラフトDA40、DA42、セスナによる訓練を行っているので、福島空港ターミナルビルの見学用デッキから、旅客機の離陸や着陸に加えて当社飛行機の離着陸も見学することができます。