ロビンソン R44 NEWSCOPTER
従来の撮影ヘリコプターに比べて、10分の1の値段ではるかに高画質。
基本機体であるロビンソンR44は現在世界で最も売れているヘリコプターである。
他のヘリコプターの年間生産機数が50機以下で一桁の生産機数も多い中でロビンソンR44は年間生産機数250機以上を誇っている。10倍の生産機数を持っていれば販売価格が安くできるのは当たり前で同じ人数が搭乗できる同等の機体の半分以下で販売されておりマーケットを席巻している。ロビンソン・ヘリコプター社は1970年に現社長フランク・ロビンソンによりガレージで創業され1980年に2人乗りのロビンソンR22を販売開始し、このロビンソンR22現在までに3300機が販売されている。そしてロビンソンR44は1994年より販売開始され1200機が販売されている。このベストセラー機R44にENG機材を生産工場で装着したのがロビンソンR44 NewsCopterである。
他の総てのヘリコプターの場合はヘリコプターは生産工場からENG機材は何も付いていない状態で出荷され、日本に輸入された後に日本の改造業者の手により日本製もしくは海外製のENG機材が搭載されている。今回このロビンソンR44 NewsCopterはロビンソン・ヘリコプター社の販売代理店であり、ヘリの運航会社でもあるアルファーアビエィションにより輸入されたが、アルファーアビエィションは予めロビンソン・ヘリコプター社に一部のENG機材を送付して、生産工場での組み上げとテスト・フライトを終了した後、電波干渉等もクリアした状態で機体ごと輸入された。
このように生産段階からENG使用を前提に企画・設計されている機体であるので、配線は機体の中にほぼ埋め込まれている。そのため小型の機体にも係わらず、スペースの犠牲がほぼ無いということと、通常極めてやっかいな機体側の無線航法機器のENG機器への干渉が全く無いというメリットもある。そして機体の基本性能である最大巡航速度(213km/h)や航続時間(3時間10分)を全く犠牲にしていないことも特記しなければいけない。
無指向性マイクロ波アンテナ 中央ソニーオンエアーチューナー
(UHF/VHF)
インカムシステム(右斜め上) 後部座席中央にあるインカムシステム
左手前はトランシーバー 中央のユニットはビデオスイッチャー
DSR-50のそこにGPSのエンコーダーが ジャイロカメラのコントローラー。
組み込まれている。 カメラコントローラーと一体化している。
左はジャイロカメラの制御部
日立国際電気製1/2インチCCD 左オンエアーモニター。
カメラ内臓FSI 5軸ジャイロ 右は送出用モニター
スタビライザー
*NewsCopterの仕様解説*
・ FSI社製5軸ジャイロ・スタビライザー ジャイロ・スタビライザーと言えばウェスカム社がやはり有名だがFSI社は米軍向けの製品が多く小型化にたけている。アフガニスタンで活躍した無人偵察機に装着されていたジャイロ・スタビライザーはこの会社の製品である。振動抑制性能は16インチの物と変わらない。360°連続回転が可能である。
・ 日立国際電気製1/2インチCCDカメラ
・ キャノン20倍+2倍エクステンダー付ズーム・レンズ(40倍)
・ ソニー製オンエア・チューナー
・ 5インチ液晶オンエア・モニター2面
・ 5インチ液晶送出・モニター1面
・ 6インチ液晶カメラ・モニター1面
・ GPS位置情報映像エンコーダー
・ ジェネバ・オーディオ・インカム・システム どの席でも複数のトランシーバーで局や管制機関との通話が可能で各席独立して使用可能 例、レポーターがオンエア・モニターとインカムを使用中にビデオ・エンジニアがトランシーバーで局と打ち合わせをしながら、パイロットが管制機関と通話できる。
・ 460MHz帯FMトランシーバー
・ 160MHz帯FMトランシーバー
・ 衛星携帯電話(ジェネバ・オーディオ・インカムシステムに組み込み)
・ ビデオ・スイッチャー ジャイロカメラ、パイロットCCDカメラ、尾翼CCDカメラ、機上収録ビデオ、機上800MHz受信機の5入力をFPUに切り替えて入力する。
・ パイロットCCDカメラ、尾翼CCDカメラ(エルモ社製)及び照明 パイロットがレポートすることが可能、尾翼カメラは機体全体を写す。
・ FM/AM/CDレシーバー(ジェネバ・オーディオ・インカムシステムに組み込み)ラジオ放送とのサイマル番組の場合にオンエア・モニターとして使用
・ 電動アクチュエーター付き全方位マイクロ波アンテナ
・ GPSマッピング
・ 日立国際電気製 FPU FR55Z2B
・ 1KHzオーディオ・ジェネレーター及びVUメーター
・ ビデオデッキ、ソニーDSR-50又はDVW-250、松下AJ-D92
・ 指向性マイクロ波アンテナ(装備可能であるが現在は装備してない)
その他の仕様としては機体側電源は28Vなのでインバーターにより13.5Vに変換しており13.5Vのサーキット・ブレーカー・パネルをもっている。また管制機関との交信や現場で他の報道ヘリとの衝突防止のための相互連絡波(122.6MHz)での交信のためのAMトランシーバーも2基搭載されており、これもジェネバ・オーディオ・インカムシステムに組み込まれていて各席からモニターと送信をおこなうことができる。
*NewsCopterの国内での運用例 *現在アルファーアビエィションの所有するNewsCopterには東京メトロポリタンテレビジョン㈱殿(通称MX)のFPUが搭載され、生中継をおこなっている。MXの受信局は東京タワーにありヘリコプターは自動追尾される。高度にもよるが東京タワーより60キロ迄は伝送が可能である。本年元旦未明の「初日の出中継」でこのNewsCopterはデビューした。阿佐ヶ谷付近でお台場への「初日の出」を中継したが、ジャイロカメラが余りに安定しているために天気カメラのように見えてしまったのには驚かされた。