生徒の初単独飛行時の教官の心境(心の声)| アルファーアビエィション

生徒の初単独飛行時の教官の心境(心の声)

さあ、今日はA君の単独だ。
天気は、風は、とても気になります。
A君と顔を合わせ、心身の状態を確認します。
「よし、いいぞ。」

単独飛行を行う前に生徒の状態チェックを実施します。
単独時と同じように場周経路を飛行し、離着陸を行います。
最初の垂直離陸がとても大切で、その生徒の心境や当日の舵が出ます。
ほとんどの生徒は、普段問題なく上がっているのに、今日は上がった瞬間に機体が傾き、ふらふらします。
緊張が伝わってきます。
その場面ではあまり指導はしません。
生徒が更に緊張しないように、ぐっとこらえて操作を見守ります。

離陸し場周飛行のうちに安定してきて生徒も普段の状態を取り戻します。
着陸も普段通りです。
「よし、単独をやろう。」
単独実施の決心をします。

接地時に下を見ないように、ホバリングを大切にするようアドバイスをして接地させます。
VHF無線機の周波数を同じにし、万が一変更ボタンを触ってしまっても周波数が変わらないように設定します。
シートベルトは大丈夫だ。
生徒に緊張が伝わらないように笑顔で見送ります。

さあ、ホバリングです。
正面に立ち、「下を見るな、機体を傾向けるな、しっかりこっちを見ろ。」と、心の中で生徒に伝えます。
「上がった。大丈夫だ。」
後はほとんど問題はありません。
普段通りに流れに乗って離着陸を行います。

ダウンウインドで生徒の感想を聞きます。
「大丈夫です。気持ちが良いです。」と返ってきます。
無線で聞いても返事が返ってこないときがあります。
普段と同じようにインターホンで返事をしているのです。

さあ最後の接地です。
しっかり水平を維持させます。
「前を向いている大丈夫だ。」
接地が完了したときに力が抜けます。

エンジンを停止し、生徒と握手をしたときが教官冥利に尽きます。
生徒さんも自分がパイロットの卵になったことを自覚します。
操縦士になるための第一関門通過です。

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