航空豆知識#168 「梅雨の時期のフライト」| アルファーアビエィション

航空豆知識#168 「梅雨の時期のフライト」

アルファーアビエィションの飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。今回は梅雨と飛行についてためになる情報をお届けします。

「梅雨の時期のフライト」
毎日毎日蒸し暑くてじとじとした雨空や曇天、時には肌寒いことも。
梅雨の季節となりました。
天気予報ではお馴染みの言葉である「梅雨前線」、梅雨前線が北上して梅雨が明けるって小学生や中学生のころに習った記憶があるのでは?

そもそも前線とは、違った性質(専門的には密度の違う)の空気の塊(専門用語で気団)が接している面が地面に接している部分を言います。
梅雨前線は停滞前線の一つであり、北方のオホーツク海気団と南側の小笠原気団が接しあって、それぞれの勢力によって北上したり南下したりを繰り返しながら徐々に北上し消滅します。
一般に梅雨前線の北側300㎞くらいが悪天域とされていて、東西に1000㎞以上広がることも珍しくありません。
霧や雨などの視程障害現象や何層にも大きく広がる雲域などにより航空機に障害をもたらします。
反対に梅雨前線の南側は良好な夏っぽい天気となっています。

このため、南北に飛行すれば前線を横切る形に、東西に飛行すれば前線に沿った形での飛行ルートとなることが多いため、梅雨時のフライトは憂鬱です。
私がパイロット人生初のダイバート(進入復行からの目的地変更)を体験したのも梅雨時の九州のとある飛行場でした。前線に沿った東西への飛行は避け、南への代替飛行場に向かったところ悪天域を無事抜けてそこは快晴、なんだか不思議な気持ちになった記憶があります。
このようなことから梅雨時には天候予察はもちろんのこと、予備燃料も十分に積んでフライトすることが必要と思われます。

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