日本経済新聞に記事が掲載されました
女の時間と日本経済
女性の方が、機械を扱うビジネスに向く
ヘリ操縦士養成会社経営・斎藤静
定説を覆す
「繊細さ」が技術を磨く
「女性がメカに弱いというのは俗説。最近は若い男性の方が弱くなっている」―。ヘリコプター操縦士の養成会社、アルファーアビエィション(東京・港)の斎藤静社長(46)はきっぱりとそう語る。
二十年ほど前、新婚旅行で小型双発機に乗った体験がきっかけで空にあこがれ、OLを辞めてヘリの事業用操縦免許を取得、起業した。操縦訓練学校の運営やヘリの輸入販売などを業に、会社設立から十八年で国内最多の生徒数とヘリの販売台数を誇るまで成長した。
ヘリコプター世界選手権で金メダルを取ったほどの腕前で、技量維持も兼ねて今でも週に二―三時間は操縦かんを握る。会社ではアクロバット飛行もこなす男性パイロットや機械好きの男性整備士を悠然と率いる。
米国で操縦訓練の教官を目指して勉強していたころ、整備士につきっきりで整備の基本とヘリの構造を学んだ。製造元の米国から毎週送られてくる最新の整備情報も真っ先に目を通し、パイロットや整備士に指示を出す。
「男性パイロットが見過ごすような異変も、私はすぐに整備士を呼ぶ」という完ぺき主義が創業から十八年間無事故につながる。「安全への許容範囲が狭い女性のほうがメカと向き合うビジネスには向いている」というのが斎藤さんの持論だ。