航空豆知識「航空ガソリン」前編| アルファーアビエィション

航空豆知識「航空ガソリン」前編

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
今回は「航空ガソリン」について、前後編に分けてお送りします。

「航空ガソリン」前編
航空ガソリンとしての必要な品質には以下のものがあります。

1.必要かつ十分なアンチノック性を有すること
2.寒冷時における始動性が良好で、上空でべーバーロックを起こさず、暖機性、加速性が良いこと
3.高い発熱量と、燃料消費が少ないこと
4.科学的に安定していること
5.耐寒性に富むこと

アンチノック性のノックとは、ノッキングのことです。
ガソリン機関ではこのノッキングが大きな問題になります。

エンジンのブースト圧を高めたり、高い圧縮比を用いたり、あるいは高い吸入空気温度で運転すると正常燃焼とは全く違った「カンカン」と言う異常音と共に排気管から黒煙と火の粉を排出し、そのまま運転を継続するとシリンダー温度は上昇し、ピストンや排気弁が溶けてエンジンを破壊することになります。

一般にガソリン機関の燃焼は通常、火花点火によって生じた火炎が次第に燃焼室内を広がって行きますが、火炎前面では絶えず未燃焼ガスの温度も上昇します。
ノッキングはこの未燃焼ガスの温度が自己着火温度に上昇して起こる現象とされています。
一度着火すれば、衝撃波は燃焼室内を高速で往復し、激しいガス振動を生起させます。
通常の燃焼ガスの広がりは、9m/秒~40m/秒といわれていますが、ノッキング状態では1000m/秒まで達すると言われています。

航空ガソリンでは、アンチノック性を表す尺度として、オクタン価及びパフォーマンスナンバーがあり、この尺度によって航空ガソリンのアンチノック性が制御されます。

後編ではこのオクタン価とパフォーマンスナンバーについてお教えします。
お楽しみに!

・福島空港でダイヤモンドエアクラフトDA42にJET燃料を給油しているところ

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