航空豆知識「北について」
アルファーアビエィションの飛行教官、整備士がお届けする毎回大好評の航空豆知識。
今回は誰もが知っているつもりの「北」について飛行教官がためになる情報をお届けします。
「北」について
皆さん、北ってどっち?と聞かれると、たぶん当たり前のように、北極があるほうが北、つまり北極点が北と答えるでしょう。
実にその通りです。北極点は地球の自転軸上の北になります。
これを真北と書いて「しんほく」と読みます。
次に、磁石のN極の指す方は?と聞かれると、もちろん「N」とはノースのNなので北を指す、と答えるでしょう。
これもその通りです。
しかし、磁石のN極はさっきの「しんほく」を指すわけではありません。磁石には磁石の北が別の所にあります。
北にあることはあるのですが、北極点から結構(2000kmくらい)離れていて、国で言うとカナダのハドソン湾あたりにあります。
磁石のN極が指し示す北を「磁北」と言います。
ですから、理科の実験やハイキング、もちろん航空や船舶で方位を見るためのコンパスのN極はカナダの方の磁北を指してます。
磁石は、N極からS極に向かって出ている目に見えない磁力線に沿って整列します。
磁石のS極、(磁南というのか?)も南極点から外れたところにあります。しかしこちらはあまり話題になりません。
つまり、北には地理上の北(真北)とコンパス上の北(磁北)があり、例えばA空港からB空港までの方位を出すときには、真北から時計回りに数えて何度の方角にB空港があるかを測りますが、航空機は目的地へ行くのにコンパスを頼りに飛ぶので「磁北」から何度の方角にB空港があるのかを考えています。
難しい話はここまで。
でも、ちょっと考えてみましょう。
「磁石のN極が指す方に北がある」
これ、おかしいと思いませんか?N極同士だと反発するんじゃないの?って。
そう思った人は、大正解。実は磁北にあるのはS極です。
ちょっとしたトリビアでした。