アルファーアビエィションの航空豆知識「プロペラ後流」
アルファーアビエィションの飛行教官、整備士がお届けする毎回大好評の航空豆知識。
今回は「飛行機のプロペラ後流」についての知識をお届けします。
当校の訓練生はベテラン教官から座学で分かりやすく教わり知識を増やしていきます。
飛行機の知識
単発飛行機には次の4つの特性があることが知られています。
1 プロペラ後流作用
2 プロペラ不均衡荷重
3 ジャイロ効果
4 トルクの反作用
の4つです。このうち今回はプロペラ後流作用についてご紹介します。
一般にプロペラは操縦席から見ると、右回りに回転しています。
このプロペラの右回りの回転流は機体後方まで移動するため、垂直尾翼は左からの流れを受けることになります。そのため機体は操縦席から見れば左に向きをかえようとします。
離陸時にパワーを増加させるにしたがって、機体は滑走路中心線から左に偏移するので、離陸時には思った以上に右ラダーが必要になります。
このプロペラ後流作用を少しでも低減させるために、次のような技術が飛行機には使われています。
● 垂直尾翼の取付を機体軸から2°程度傾けて取り付けることで、後流による流れに対して少しでも機体の左偏位を少なくします。
● もう一つはエンジンを機体軸から右にずらして搭載します。通常は機体軸と平行に機首部に搭載しますが、2°程度推力軸を右に傾けて搭載して左偏位を少なくします。ダイヤモンドDA40型、自衛隊のT-5、T-7もこのタイプで、これらは組立調整と言われています。
アルファーアビエィションの訓練生はDA40の飛行前点検においてエンジン軸がずれている事を確認しますが、完全に後流作用がなくなるわけではありません。
真っ直ぐな離陸操作ができるように、今日も福島空港では操縦訓練が続けられています。