気象衛星ひまわり画像の見方| アルファーアビエィション

気象衛星ひまわり画像の見方

日本付近の主な画像は、可視画像・赤外画像・水蒸気画像とに分類される。静止気象衛星(愛称:ひまわり)もすでに5号になっており、初代1号からほぼ20年を経過している。

 「静止」とは言っても、地球の自転速度と同期してほぼ円に近い軌道を回転しているわけで、中国などではこの手の衛星を地球同歩衛星と呼んでいる。「静止」という言葉より真を突いている表現といえる。

 古くから観天望気という言葉があるが、この気象衛星の登場により、茶の間で座っていても地球の円形画面が見られるようになって久しい。ただ専門的に見ようとする場合TV放送の時間が短い、画像の鮮明度が不足であるなどの問題がある。じっくり見ようとする場合、天気予報専門のTVチャンネルを見るか、気象衛星からの放送を直接受けるかの方法をとる必要がある。またインターネットでも画像を公開しているサイトがある。

 さて、本ページでは、気象庁の資料から、小規模利用局向けの説明部分を中心に、画像の見方を説明する。

1 画像の種類とH画像

 Hなる記号は、赤外線で見た画像ということを示している。
 天気予報などでは放送されないが、赤外線でとらえた温度を示すための凡例が、画像情報の先頭についている。下はそのH画像の例である。 凡例の階調は16であるが、使われている階調は64である。

  次に画像のタイトルの説明が入っている。それぞれの記号が示す温度は次のとおり。
①25℃以上 ② 22℃  ③ 15℃  ④  8℃
⑤ -1℃  ⑥ -6℃  ⑦-13℃  ⑧-20℃
⑨-27℃  ⑩-34℃  ⑪-41℃  ⑫-48℃
⑬-55℃  ⑭-61℃  ⑮-69℃  ⑯-76℃

これで、地表面温度、海水面温度、雲の温度、雲の温度から推定される雲の高度を知ることができる。問題点は、海水温や地表面温度に近い低い雲や霧は識別しにくい。

またそれぞれの項目は以下のとおり。
Ⅰ:GMS-5 気象衛星ひまわり5号
Ⅱ:IRは赤外画像 VSは可視画像 WVは水蒸気画像
Ⅲ:西暦年下2けた  1996年
Ⅳ:月          12月
Ⅴ:日          31日
Ⅵ:協定世界時 この例では16時
Ⅶ:画像の種類 H 記号はABCD HIJ KLMN VWなど
Ⅷ:実際に地球を北からスキャンし始めた時分

なお、世界時より+9時間すると、日本時間で1997年1月1日01時のことである。

2 I画像

 可視光線領域でとらえた明るさ(太陽光の反射など)を情報とする画像である。主な情報は濃密な雲は反射率が高いことを利用している。このほか、太陽光の角度が低い場合、背が高い雲は陰を作ることなどから日の出から日の入りまでの経過をみると、前線の雲や台風の眼の部分などが検出できる。また火山の大規模な噴煙や大規模火災も確認されることがある。

3 J画像

 日本語では赤外強調画像という。H画像では降水をもたらす主要な雲域が、中間調のしかも黒に近い表現となっているため把握しにくいことがある。日中については可視画像を注目することで監視できるが、夜間は見えない。このため夜間に限って、下層の雲の状況を、より明瞭に表現するために、中下層雲について表現の強調をねらった画像処理である。

 「強調」という目的を達成するために、温度と階調は比例関係ではない。また、季節別の変換表を利用しているので、注意しなければならない。

4 水蒸気画像

 水蒸気画像は、現在小規模利用局向けには1日2回提供されている。画像記号ではKLMNで地球の円形画像が4分割されて送信されている。日本ではひまわり5号で新しく追加されたセンサーであるが、単純には水蒸気の多少を示すものと見て良い。白は水蒸気の多い部分、黒は水蒸気の少ない部分を示す。凝結していない水蒸気の多少がわかるため、雲を作る「もと」の存在が見えることになる。「墨の流し絵」のように、低気圧に巻き込む水蒸気が見えている。

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